植物の糸ができるまで

<苧麻(カラムシ)>

苧麻(ちょま)は、イラクサ科の植物で、カラムシ、青苧(あおそ)などとも呼ばれます。多年草なので、一度植えると毎年芽を出します。
昭和村ではよい繊維をとるために年1回しか収穫しませんが、沖縄のようにあたたかい気候のところでは年に3〜4回収穫できるそうです。
我が家の小さな畑では、7月〜8月に2回ほど刈り取りを行います。

苧麻の茎の根本のほうに鎌をあてて一気にザックリ刈り取ります。

葉っぱをすべて落として茎だけにします。
刈り取った茎は束にし、皮をはぎやすくするためにきれいな水に浸けます。
昭和村では苧麻の長さは、曲尺で4尺2寸(127.5cm)と3尺8寸(115.5cm)と刈り取りの標準が決まっていますが、我が家では長さはそろえず成長した分だけ収穫します。

茎の根本のほうを2つに折り、先端に向かって指で皮をはぎ取っていきます。

はいだ皮は束ねて水に浸けておきます。

「ひきご」という道具を使って茎の外側のかたい部分をこそぎおとすと透き通った繊維がでてきます。

ひきたての繊維は白いリボンのようで、艶と光沢があってとてもキレイです。

繊維は少しずつ束ね、風通しの良いところで「かげ干し」をして乾燥させます。

繊維が乾燥したら、束にして保管しておきます。
昭和村では、1束100匁(昔は375g、現在の100匁の束は約390g)が基準です。




<糸を績む>

苧麻や大麻などの植物繊維(靭皮繊維)の糸づくりをすることを「糸を績(う)む」といいます。
まず、繊維を1本ずつ手にとり、細く裂いていきます。

細く裂いた繊維に撚りをかけてつなぎながら1本の糸をつくっていきます。
糸績みは、昔から雪に閉ざされる長い冬の間の女性たちの仕事であり、春先になると冬にたまった糸を使って織りがはじまったのだそうです。

つないだ繊維は、はじまり(根元)のほうから苧桶に入れてためていきます。
苧桶に蓋をしたときに蓋が少し持ち上がるくらいの量をつくると、100匁くらいといわれています。
100匁の糸は、男帯(幅2寸6分〜3寸)のタテ糸2本分、女帯(幅8寸1分〜2分)のタテ糸1本分になります。

苧桶にたまった繊維はブンブン(糸車)で撚りをかけて糸にします。

昭和村では、昔から「たいらな気持ちでないとよい糸ができない」といわれています。

撚りをかけた糸は、木枠に巻きなおして糊づけをします。

タテ糸を準備して、やっと機織りが始まります。


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