築260年の山村の古民家で、植物を育てて、糸をつくったり、草木で染めたり、機で織ったりしています。
プロフィール
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ごあいさつ
はじめまして。 |
村の店や市場に行くと、多種多様な民族の雑貨が並んでいたのを覚えています。手織りや刺繍のアイテムも多く、財布、ポーチといった小物類からバッグ、儀式に使うような布、民族衣装まで、いずれも個性的な模様、カラフルな色彩にあふれていて見ているだけでも楽しくなりました。 |
もちろん、当時はまだ「自分で作ろう」と考えたわけではありません。ただ、「世界には自分の知らない民族がたくさんいて、それぞれが独自の文化を持って、ものづくりをしているんだ」ということが心に残りました。 |
その後、大学を卒業して出版関係の仕事を始めましたが、また旅に出たくなり、2001年にメキシコ先住民の村を訪れました。 |
奥さんのシルビアは、いつも庭に杭を打ってたて糸をかけ、それを自分の腰に固定して織物をしていました。腰機とか原始機とか呼ばれるシンプルな織機で、1日の作業を終えると杭からたて糸を外し、くるくる巻いて片付けます。そして、次の日になるとまた庭に出て同じ作業を続けるのです。 |
構造はとてもシンプルなのですが、織った布の模様は素晴らしくて、どういう仕組みになっているのか見ていても全然わかりません。「教えてよ」と言うと、「あなたは初心者だから、子供たちと同じレベルからね」と、小さな織機を作ってくれました。 |
まだ小学生くらいの子供たちと一緒に並んで体験した、初めての機織り・・・縞柄の細いベルトのような紐のようなものを作ったのですが、これが意外と難しくてうまく織れない・・・けど、面白い! |
ところで、みなさん奥会津の昭和村という場所をご存じでしょうか。 福島県の西部に位置するのどかな山村で、誰もが知ってる観光地というわけではないのですが、染織をやっている人の間では結構有名なところです。 |
からむしは苧麻と呼ばれる麻の一種で、越後上布や小千谷縮など、夏の着物である上布の原材料です。昭和村は、このからむしの本州唯一の生産地として知られています。 |
私は、この昭和村で織姫体験性として、からむしから糸を作り、織るまでの一連の工程を1年かけて学ぶとともに、植物から糸を作ることの面白さを教えていただきました。 |
現在は、小さな畑で細々と苧麻を育てて糸づくりを続けています。 昭和村のからむしは上質な繊維として珍重されるブランドですが、そもそも苧麻は全国各地でよく見られる、いわば雑草です。智頭町の山にもよく生えていて「やまお」と呼ばれているそうです。 畑で育てたからむしのようにキズのない白くてピカピカの繊維とはいきませんが、なかなか味のあるワイルドな繊維がとれます。 |
みなさんにも、植物から糸を作る楽しさを伝えるお手伝いが少しでもできたらうれしいです。 |